目次
1言動が乱暴で勤務態度が悪く指導に従わない社員への対応策
注意指導
注意指導の目的は、言動・勤務態度を改めさせることと、証拠を確保することです。
そのため、心構えとしては逃げない、過剰反応しないことが重要です。堂々とした態度で冷静に対応をしてください
「事実」 →「評価」への流れを作ることも重要です。
「事実」(5W1H)を確定してから,当該「事実」を「評価」してください。
「事実」 何月何日の何時頃,どこで,誰が,何をしたのか,どうして,どのように行われたのかなどのことです。
印象による「評価」が先行して「事実」を具体的に説明できないという状態では、事実に基づいた評価とは言えません
証拠の確保
報告書,上司や弁護士への報告メール, 事情説明書,事情聴取書 が証拠として認められます。始末書は証拠として認められない可能性があるので、要注意です。
また、懲戒処分の際には懲戒処分の指針にのっとる必要性があります。
また、就業規則の周知も必要です。
注意指導するとパワハラだと騒ぎ立てる社員への対応策
「職場のパワーハラスメント」
パワハラの例:職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告
「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優 位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える 又は職場環境を悪化させる行為」のこと
「個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには当たらないものとなる。」
⇒「業務上の適正な範囲で行われている場合」かどうかを問題にしています。
「被害者がパワハラだと思ったらパワハラ」は間違いです。
「加害者に悪気はなかったのだからパワハラではない」も間違いです。
「パワハラ」だと騒ぎ立てられ得る注意指導の分類
① 「適法」かつ「適切」
② 「適法」だが「不適切」
③ 「違法」かつ「不適切」
損害賠償請求訴訟で審理されるのは「適法(①②)か違法(③)か」です。
抽象的に「パワハラかどうか」が審理されるわけではないのです
「パワハラかどうか」が議論されることが多いが,「パワハラ」を③違法なものに 限定して議論しているのか,②適法だが不適切なものも含めて議論しているのか, はっきりしないことが多いものです。
企業側の対応としては、「適法」(違法でない)ということだけで満足せず,「注意指導としてより適切なやり方」を追求すべきです。
違法性の判断基準
裁判所における一般的な判断基準は以下の通りです。
「行為のなされた状況,行為者の意図・目的,行為の態様,侵害された権利・利益の内容,程度,行為者の職務上の地位,権限,両者のそれまでの関係,反復・継続性の有無,程度等の要素を総合考慮し,社会通念上,許容される範囲を超えているかどうかにより判断される。」
ここからわかる指標は、
①業務上必要な注意指導は,違法とは評価されにくい
②業務指導を契機とした言動であっても,度を超せば違法と評価され得る
③度を超した言動は「業務上必要な注意指導」とはいえない
④「暴力」「人格否定」は,違法と評価されやすい
⑤業務上必要な注意指導と評価できないことが明らか
ということです。
具体的対応
「パワハラ」と言われたからといって業務上必要な注意指導を怠ってはいけません
業務上必要な注意指導は上司の「仕事」です。
心構えとしては、①逃げない ②過剰反応しないが重要です。
堂々とした態度で冷静に言い聞かせる、「業務上必要な注意指導」かの確認、力,人格否定,度を超した言動をしない、などに注意しましょう。
また、録音されている可能性を意識して指導しましょう。
最近は会話内容がiPhoneなどで無断録音されていることが多いです。
そのため、「言った言わないの話」では終わらないことも増えています。
「無断録音されている覚悟で」注意指導すれば,違法とまで評価されることは少ないものです。
会社の金銭・所有物を着服したり出張旅費や通勤手当を不正取得する社員への対応策
まずは事実確認が必要です。
客観的証拠の収集や事情聴取をしましょう。
事情聴取の際には、「事実」 (5W1H)を聴取しましょう。
何月何日の何時頃,どこで,誰が,何をしたのか、どのように行われたのか、を確認します。
報告書,上司や弁護士への報告メール, 事情説明書が証拠として認められます。始末書は証拠として認められないケースもあるので注意しましょう。
事情説明書や事情聴取書は、不合理な弁解が記載されていても,突き返さないで保管しましょう。
録音なども含め、丁寧な事実確認が早期解決につがなることが多いです。
着服・不正取得した金銭の返還方法
「書面」で返還を約束させる
給与天引ではなく現実に支払わせる(賃金全額払いの原則(労基法24条1項)給与天引きに対する労働者の「自由な意思」に基づく同意のため)
ことが重要です。
また、退職勧奨をする際には
「このままだと懲戒解雇は避けられず,懲戒解雇だと退職金は出ない。懲戒解雇となれば,再就職にも悪影響があるだろう。退職届を提出するの であれば,温情で受理し,退職金も支給する。」という発言のリスクを把握したうえで、退職勧奨の発言はiPhoneなどで無断録音されていることが多いので、無断録音されているつもりで退職勧奨すれば,不法行為が成立するようなことを言ってしまうことは少ないです。
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