目次
うつ病や精神疾患を隠し入社した社員、能力が極端に低い社員への対応策
採用選考の際の注意点
採用時の選別が最も重要です。
人手不足などの理由から人員確保の必要性が高いと,応募者の能力が 低いことに気づいていながら採用してしまいがちです。
十分な選別をせずに採用せざるを得ない場合は,ある程度の割合の新入社員については,難易度の低い仕事を準備して担当させざるを得なくなることを覚悟しましょう。
教育の際の注意点
日常業務における注意指導,業務日報,マニュアル作成,研修等での指導をしましょう。
能力が低ければ低いほど「具体的に」伝えないと理解してもらえないものです。
能力向上には時間・手間がかかると覚悟する必要があります。
試用期間における本採用拒否(解雇)等
能力が極端に低くて雇い続けることが困難な場合は,試用期間満了までに辞めてもらうことが可能です。
本採用する場合は,能力が低くても雇い続ける覚悟で合意退職
本採用拒否(解雇)
採用決定時までに把握していた事実を理由として,緩やかな基準で本採用拒否することはできません
「事実」→「評価」
まずは,「事実」(何月何日の何時頃,どこで,誰が,何を,どのように, どうしてしたか)を確定します。
次に,確定した「事実」に基づき,「労働契約で予定されている能力」があるかを検討(「評価」)します。
印象による「評価」が先行して,「事実」を具体的に説明できないと,
本採用拒否(解雇)が無効と判断されやすくなります。
客観的証拠の確保
陳述書,証言のみではいけません
能力が低いことを示す具体的事実,フィードバックの内容等が記載された書面が必要です。
適正な評価・賞与,昇給額等への反映も有効です。能力に見合った適正水準の賃金であれば,能力が低い社員に対する周囲の不満は高くなりにくいです。
担当業務の変更
労働契約で予定されている範囲内で,能力が低くても担当可能な 業務に従事させることが,現実的対応のことが多いです。
本採用後の解雇等
本採用後は解雇・退職勧奨のハードルが上がります。
損害賠償請求
能力が極端に低い社員が会社に損害を与えた場合でも,「報償責任の原則」等から,損害賠償請求できる金額は制限されること場合が多いです。
身元保証人に対する損害賠償請求は,本人以上に制限されます。
精神疾患を隠して入社したが精神疾患が再発して働けなくなった社員への対応策
精神疾患を隠して入社したことを理由とした解雇の場合…
応募者は精神疾患歴があることを申告する義務があるでしょうか?
①精神疾患が再発して働けないことを理由とした解雇等
②試用期間中における精神疾患の再発
の場合、欠勤が続けば,本採用拒否(解雇)が認められやすいです。
試用期間中でも私傷病休職制度の適用がある場合は,休職で対応しましょう。
退職勧奨は抑制的に精神疾患を悪化させる恐れがありますので、注意が必要です。
休職・休職開始
休職命令は休職命令書を作成して交付します。
内部決済のみで休職命令なしはいけません。
休職命令書には,休職事由,休職期間満了日等を明記しましょう。
私傷病休職事由
「労働契約で予定された仕事ができないこと」が必要労働契約で予定された仕事ができるかどうかは,専門医の診断書・意見書を参考に会社が判断します。
休職期間中
退職勧奨は抑制的にしないと精神疾患が悪化する恐れがあります。
復職・休職期間満了
復職を認めるかどうかは,休職期間満了日までに私傷病休職事由が消滅しているかどうかによります。
「私傷病休職事由が消滅している」とは,どのような場合でしょうか?
①「従前の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合」
②「当初軽易作業に就かせればほどなく従前の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合」
③「当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務を提供することができ,かつ,その提供を申し出ている」場合
専門医の診断書・意見書を参考に会社が判断します
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